オレはひたすらさまよっている。
さてはて、この季節に獲物を見つけることができるかどうか。。
オレの腹の貯蓄もあと2,3日で尽きるだろう。
それまでに見つけられなかったら。。
朽ち果てて土に還るだけだ。
不思議と恐怖心はない。
死んだらどうなるのか?あの世なんてないだろう。
オレは現実主義者だ。
おかしな話だが、オレはそんなぎりぎりの生活を楽しんでいる。
生きるか死ぬか、そんなぎりぎりの生活。。
なぜ、こんな生活を楽しめるか?
それは常に野生の感覚を研ぎ澄ましていたいからだ。
人間どものように必要なものを必要な時に引き出せる生活には
吐き気がする。そんな生活の中で朽ち果てていくぐらいなら、
今すぐに死んだほうがましだ。
オレはどうせ死ぬなら、この感覚を持ったまま死にたい。
噛みつく力を持ったままだ。
そういえば、人間どもは最近、調子に乗っていやがる。
やつらはまるで、地上の主にでもなったかのようにオレの
領域を侵しやがる。いざとなったら、この牙でやつらの首根っこに
噛みついてやるのだが。そうすれば、やつらだって、
少しは目が覚めるだろう。
北風が相変わらず、オレの背中を駆け抜けてゆく。
まるで突き刺すようだ。
オレの腹の見積もりは間違っていたかもな。
多分、あと一日もてばいいところだろう。
オレはこの季節を乗り越えることができるだろうか。。
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