ねえ、あなたは最後まで私に振り向いてくれなかったわね。
あの日から急にあなたは冷たくなった。
ねえ、どうしてなの?
あら、嫌だ。
傷は癒えたはずなのに、このタンポポを見ていると、思い出してしまったわ。
あれからもう7年。
このタンポポの種のように、あなたは風に乗って、どこかへ行ってしまった。
そう、ちょうどこんな風に軽やかに…
あの日までのあなたは本当に優しかった。
まるでお姫様のように手をかけて扱ってくれたわね。
レストランでは必ず椅子を引いてくれたし、私の体に触れるときも、そっと優しくつつんでくれた。
あの感触を今でも思い出すわ。
寂しい一人寝の夜は特に。
でも、あなたが私の許を去っていったのは、当然だと思う時もあるの。
ごめんなさい。
私にもそれはわかっていたのよ。
私もおばさんになってしまったからなあ。
私の容貌は、時が経つにつれて、どんどんひどくなっていった。
目じりのしわや肌のたるみは、化粧ではごまかせなくなっていた…
努力はしたのよ。
ジムにも通ったし、いつもダイエットには気を配ってきたつもり。
でも、あなたは優男でハンサムだったから、老いとはまったく無縁だった。
だから、どんなに若い子でもより取り見取り。
若い女の子に40代のおばさんは絶対に勝てないわ。
そう、それが真実。
ありきたり過ぎて、がっかりしたでしょ。
時々、思うわ。
今、あなたは幸せに暮らしているんだろうか、と。
若い子に振られていないと、いいけど。
ううん、嫌みじゃないの。
もう、あれから7年が経っているから、未練はないし、新しい一歩を踏み出さないといけない。
だから、誤解しないでね。
女は、気持ちが切り替わると、あなたへの未練なんて完全に消えてしまうから。
冷たい生き物なのよ。
ふふっ、私にも新しいお友達ができたのよ。
どう? 私だって前へ進んでいるでしょ。
発展しそうかって? それは、まだわからないわ。
でも、確実にひとつわかっていることは、そろそろ過去を捨てて、新しい扉を開く時だってこと。
私には、まだ新しい扉を開く力が残っていると信じているから…
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