僕は傘をさしている。
雨は今、降っていない。でも、いつ降り出してもおかしくない天気だ。
だから、さしている。。
雨が降り出して、濡れるのを避けようと僕の横を駆け抜けていくやつがよくいる。
バカなやつらだといつも思っている。
僕はいつもカバンの中に傘をしのばせているから、突然の雨にも
普通に対応できる。
傘はいいなあ。いろんなものから僕を守ってくれる。
僕にとって、傘は雨を防ぐためだけの道具じゃない。
ある意味、僕の心の支えでもあるんだ。
何をお前は恐れているんだって?
世の中には怖いものがたくさんある。
ナイフを持った暴漢に襲われるかもしれないし、頭の上からレンガが
落ちてくるかもしれない。。。
そんな物騒な世の中だ。
そんなものすべてをこの傘は守ってくれる。。。。気がする。
(実際のレンガなら傘なんて突き破ってしまうだろうけど。。)
そう、素直に認めよう。僕は怖がりだ。
君にわざわざ指摘されなくてもそんなことは当の昔からわかっているさ。
あまりにもいろんなものを恐れすぎて、いくつかの人生のチャンスを
ふいにしてきたことも事実だ。
一歩足を前へ踏み出そうとすると、いろんな怖いものが頭をよぎるんだ。
この大学に落ちたら、どうしよう。。
上司の期待にこたえられなかったら、どうしよう。。
このプロジェクトに失敗したら、どうしよう。。
そうやってさんざんなじられ、ひどい仕打ちも受けてきた。
でも、僕は決心したんだ。
失敗してもいいから前へ進んでやろうって。
また、失敗するかもしれない。
でも、チャレンジせずに後で後悔するほうがよっぽどつらいって、
ようやく気付いたんだ。
この決心がいつまで続くかわからない。
また、決心が鈍って元の自分に戻ってしまうかもしれない。
とにかくまずは一歩だ。
傘よ、君には感謝している。
でも、僕は君を置いていかなきゃならない。
君と一緒にいると、いつも守られている気がして、僕は。。。
さらば!傘よ!
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