私はいろいろな街でいろいろな本と出合ってきた。
こんな感じの露店もあれば、本屋なんかもあった。
図書館にもよく通った。
あまりにも通いすぎて図書館の受付の女性に
顔を覚えられたこともあったっけ。
だから、私の思い出はいつも本と結びついている。
それがいいことか、悪いことか。。
純粋な街の魅力に本の思い出がブレンドされてしまう。
だから、本の思い出が悪い時には街の魅力が下がったように
感じてしまう。
逆もまたしかりだ。
まあ、そんなに厳密に考える必要もないかもしれない。
例えば、パリなんていう街はそれだけで絵画のような
街だ。パリほど映画の似合う街はないだろう。
あれほど印象の強い街に本の思い出がどれほどの
影響力を持つか。
考えるまでもないだろう。
そういえば、パリでも本の露店をまわった。
パリでは本屋もいいが、やはり街角の風景も楽しめる
露店がいいだろう。
「コンビアン サ クット?」
フランス語で「これいくら?」という意味だ。
露天商が値段をこたえる。
私はおもむろに財布を取り出し、使い慣れない
フラン紙幣を取り出す。
「メルシ」露天商が言い、「さよなら」と言って
店を離れる。
そんなやり取りでさえあの街ではおしゃれに
聞こえるから不思議だ。
私はフランスのパリで買った本を今、畳の上で
読んでいる。
これぞ、日本文化とヨーロッパ文化の融合だなどと
大げさなことを考えてみる。
横文字に疲れたから畳の上に横になって
本のインクのにおいをかいでみる。
ほんの一瞬、パリのにおいがした。
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