Life

結婚しよう

男さあ、結婚しよう。今すぐしよう。 女そんなこと言ったって。まだ、心の準備が…。 男何だよ?そんなもの俺たちに必要か?愛があれば十分だろう? 女愛だけではだめなのよ。私に毎年、誕生日の贈り物してくれる?旅行に連れて行ってくれる?贅沢は言わな...
Life

雪原の足跡

オレは極寒の地を歩いている。ほら、見てくれよ。このきれいな足跡を。今は夏だから、吹雪もこないだろうから、しばらくはこれらの足跡もそのまま残っているだろうなあ。このまま消えてほしくないなあ。 って、そうじゃないだろう。早く消えてくれなきゃ、困...
Life

新聞紙の向こう側

私は紙の新聞が好きだ。インクの少し苦みのある香りと大きな紙面は、父を思い出させる。子供のころ、いつも朝の食卓で、大きな紙面越しにのぞく父の真剣なまなざしは、私にとって、あこがれだった。大人の世界を、一瞬でも感じることができたからだ。冷たくて...
Friend

穴倉に生きて

私はこの場所で静かに生きている。静かに生きるというのは、意外に難しい。というのは、私のその意志を邪魔しようとする輩が結構いるからだ。一番面倒くさいのが、3軒隣のタコ八の小僧だ。やつもここと同じような薄暗い場所で、ひっそりと暮らしている。ただ...
Friend

さなぎから蝶へ

さなぎから蝶へ。私はいつも、このイメージを持って学生時代を過ごしてきた。大人になって、私は蝶になれたかしら…。さなぎは固い殻に覆われた、醜い生き物。美しい蝶になるために、今か今かとチャンスをうかがっている醜い生き物。 学生時代の私は、まさに...
Life

人生のたそがれには

今からわしの第二の人生が始まる。さっき30年勤め上げた会社で手続きを終えて、帰宅するところだ。今日が最終日だった。朝食の時、妻がささやかな退職祝いのつもりだろうか、いつもよりトーストを1枚多くつけてくれた。あえて礼は言わなかった。なぜなら、...
Life

無神経な男

「ねえ。こんな大事な話をしているときに、なぜ、あなたは携帯をいじっているの?」「あっ。ごめん。今ちょっとメールが来たから」「そんなに重要なメールなの? あなた、今の状況わかってる? 今、私たちの結婚生活をどうしようかっていう話をしているのよ...
Life

ダンケルク

私はこの場所にずっと立っている。君たち人間の単位でいうと…、そうだな、300年くらいか。君たちの目から見ると、ずいぶん寂しいところにつっ立っているなあと思うことだろう。昔は、この辺りもうっそうと木が茂っていて、にぎやかだった…。その頃は、私...
Smile

俺をここから出してくれ

あー、しんどいな…。 俺、なんで、あの時、断れなかったんだろう?もう一回、チャンスをくれ。いや、くださいー! 神様ー! って俺も神様のはしくれか。いやー、しかし、俺の腕と足はどこへ行ったんだ?まだこの下に埋まっているとは思うが、もう300年...
Life

「良心」という面倒でやっかいなもの

雪がすべてを覆いつくしている。きれいな雪景色だ。寒さが身に染みる季節が、本格的にやってきたことを実感する。雪はすべてをシンプルに見せる。すべてを白で覆いつくしてくれるからだ。複雑なもの、単純なもの。きれいなもの、汚いもの。派手なもの、陰気な...